*ちばあきお「ふしぎトーボくん」の感想。リアルタイムで読んだっきり、うん10年ぶりの再会です。



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変の記憶 2006/11/21 23:35

トーボくん、最終回と向き合うのがどうも気後れして、欲しいと思いつつそのままになってた。
本が届くのは明日以降なので、再読前に連載当時の気分を思い出してみて、大人の自分が再びどう感じるかを知るのも面白いかと。
子供の自分には、クロが追っかけていく救いよりも、やっぱり異質なものが排除されていくことの方がショックだった。
トーボ君は負けちゃったんだと思った。ちば先生も非道いと思った。
父ちゃんに腹がたった。
そんなところか。
人と違うのはいいことじゃないのか。
動物の声は聞こえなかったが、毎日同じ曲がり角で青い空を見上げて突っ立っているのは変なのか。
寒い冬に運動場に寝っ転がって地球はぬくいなあと思うのは変なのか。
一人だけ夏服で体育に出るのは変なのか。一人だけ、セーラー服のリボンをちゃんと結ぶのは変なのか(当時は学校荒れてた時代だ)。
・・・・充分変だよ、当時の自分、とつっこみ。
人目が気にならない、というのは自分しか見えてないことでもあると、自覚したのは大学に入ってから(遅いよ)。異質でも、染まらなくても、混じっていくやり方もある。
今だったら、誰の目線で読むことになるんだろう。楽しみ。

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トーボ届いた 2006/11/26 23:50

目が覚めたら朝だったりして、何かありそうな予感はしてたのにと後悔しきり。
さてさてトーボ君届きました。
お兄ちゃんがどっぷりはまっております。2日間で4巻まで読破〜。
「思ったより、面白いなあ。宇宙人と話せるって、すごいよねえ、宇宙船、いっぱい
来てるって、ちょっと怖いなあ。」
「あんたも赤ちゃんの頃は何もおらんところじーっと見てたよ。何か見えてたんちがうか?」
「うーん、そうかなあ・・・。」
まあ、今でも現役小学4年生が読んでも面白い、ということで、よしよし。
「クロの耳ちぎれてる〜母さん、大変だよ!」「母さん、なんで猫おばあさんに叩かれたのかが分からんのやけど。」「幽霊とはなせる爺さん、怖い。」
こんな感じで、やかましい。
さてこいつがラストをどう読むか、楽しみでもある。
えー、私ですか。いや、やっぱり、面白いなあ、と。 うん。
競馬にはまる父ちゃんとカンのいい息子ってパターン、どっかで見たことあるなあと思うものの、思い出せない。
冷静に、むしろちょっと冷めた目線で読んでやろう、と思ったものの、基本、ちばあきお好きだし、あかんわ。うん。面白いんだよ。話として面白い、だけじゃなくて、トーボ君生き生きしてる。
ラスト、については、もうちょっと考えないと何ともいえないですが、(怖くない)という思いやりすら嘘になる、という状況ってなあ・・と、言い訳するユリ子ちゃんを見て思ったのだった。
物語が始まる前の(施設にいたころの)トーボ君についても考えないと、施設に戻るということの答えでないのかも。




2006/11/27 18:51

「母さん、トーボ君の最後ってさあ・・・」
「うん?」
「引っ越したの?」
「どう思う?なんでやと思う?」
「うーん・・・あ、あれ、あの話と同じや。母さんの絵本。」
今江祥智の「あのこ」のことである。戦時中、町から来た馬と話せる少女が村八分にあうという・・
イラストが幻想的でちょっと怖い、絵本。
「あんたやったら、どうする?トーボ君、戻ってくると思う?」」
という問いには、息子、答えてくれなかった。
ちょっと、考えているふうだった。
「母さん。・・ぼく、引っ越ししたいなあ・・・。」







** 2006/11/30 14:21

・・開かれていこうとして、閉じてしまった、でも閉じきれない物語。
うーん、色々考えたが、言っちゃうとこういうこと、かな。
トーボ君が帰ってきて、ケンカにしろはじまり、ユリ子ちゃんや山田君というつながり、岩城君とのつながり、少しずつ世界が広がっていく。動物世界の方は、トーボ君が自由に動ける、どちらかというと内的世界の意味もあるのかなと。クロやゴローの世界が広がっていく、遠足のエピソードなんかはクロが人間世界でのトーボ君を拡げていくのに一役買ってる。
それがどうして、あの、ラスト2話の急展開になるのか・・正直なところ、私は、ちば先生の死後すぐに読み返したこともあって、あれは、ちばあきお先生の限界なんだろうかと考えてた時期があります。ぱたんと、目の前で扉を閉められてしまった感覚。
果たして、連載打ち切りだったのか、予定の終わり方だったのか、今となっては分からないけども。
最初は、たしかに広がろうとしていた物語なんだと、思います。
だって、やっぱり、父ちゃんの施設に返すやり方は納得できないよ。皆を叱る長老のポチの役割をする人、が明らかに人間の方に欠けてるんだけれど、それをやれる大人、はこの場合父ちゃんしかいないだろう。父ちゃん自体も、すこし世界の閉じたひとなんだろうけれど・・。父ちゃん以外の大人がいない世界だった、と幼少のトーボ君をイメージしてみる。おせっかいなおばちゃんがいれば、いいのに。・・・ちょっと、脱線してきたか。
閉じたまま癒す物語も、あるんだけどね。少女漫画ですが、椿野なな恵の「Papa told me」NHKドラマにもなってましたが、やもめの父さんと娘の知世ちゃんの物語。知世ちゃんの世界は大人に向かって開いているのに、周りの大人達はちょっと傷ついてたりして、知世ちゃんに向かって閉じている。
いっとき嵌ってましたが、気付いてから読まなくなった。今の私には必要ないので。
世界を閉じようとして、閉じきれないのはクロの存在。とても、人間に近い描かれ方の、あの犬に、好きは好きと言える犬に、やっぱり、希望をもとう。もし、アニメ化されたら、開く方向に持っていってくれるはず。アニメプレイボールの半ちゃんのように。


【日々雑記】

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