畳と縁側と土の上〜トーボくんとクロの距離

キャプテン・プレイボール ちば作品

えーと、1月からの宿題でしたが、なかなかもう難産で。

トーボ君という、人間の世界にうまくなじめていなくて、動物よりの少年の立ち位置について考えていたのでした。

動物と人間の関係、というと、まずはペット。

ユリ子ちゃんとインコのタロウ、

おばあさんと猫のタマ(ゴロー)、

岩城くんとコロ。

言葉は通じないけれども、彼らは飼い主が大好きで、んー、その、「家族」というのがしっくりくるような関係。

ユリ子ちゃんはタロウを手に乗せる。話しかける。

真っ黒でもちゃんとタマをみわけたおばあさん。

死の間際まで岩城君を気にかけるコロ、コロのために犬に噛み付く岩城君。

距離で言うなら、同じ畳の上。

名犬ラッシーとかラスカルとかジョリイとかそんな感じ。

しかし、それはトーボとクロにはちょっと当てはまらないよなあ、と思ったので、ぐだぐだ考えているのでした。

クロは、虐待されたペットで、トーボに助けられたけれど。

トーボ君の家でえさをもらって暮らしているけれど、トーボのペットではない。(お迎え〜とか、忠犬ぽいことしてみたりはするけれど。)

家族でもない。

遠足についていったり、なんだかちょっと「弟」みたいなところもあるんだけども。

(おじゃる丸とカズマのような〜清麿とガッシュのような〜)

友だち?

(ポケモンのサトシはピカチュウを「友だち」というよね。でも、言葉が通じない故の彼らの信頼感はむしろ先に挙げたペット=家族とか、相棒に近い。

言葉の通じるトーボとクロではまた少し違う。)

友だちには違いない。けど、親友未満、しっくり来ない。

こう、丸井と谷口さんみたいな、じれったさがあるんだよーじたばた。

トーボ君の動物達の中での立場って、どうだろう。

ネズミ族、ネコ族、イヌ族、というなかでの、ニンゲン族。

ニンゲンは一目置かれている生き物で、その代表みたいな、トーボ君。

どっちかというと、同じ町内会の物知りな「ご近所さん」?

動物達の世界といるときのトーボくんは、どっちかというと、くまのプーさんのクリストファー/ロビンみたいだなと思う。

動物達となじんでいるようで、やっぱり少し別のもの。ニンゲン。

縁側の上にいる、トーボくん。

靴を履いて、人間のいる世界にいく。

靴を履いて、動物のいる土の上を歩く。

クロとトーボ君。

ペットじゃない。家族じゃない。友だち以上、親友未満。ちょっぴり弟。ときどきお兄ちゃん。動物町内会の頼れるニンゲン。

距離は畳と土の上。自由に行き来はできるけど。

あ、そっか。行き来出来るんだ。

ミッキーが、布団の横に来たように。

クロは線路を超えてトーボ君のところに行く。

近づけるんだ、気持ち一つで。

縁側飛び越えて、畳の上まで。

ホントに、この子達の関係をどう書くか考えあぐねてたら、

クロのやつ、私の頭の中に出て来てニヤリと笑って、言うんだよ。

「やだなあ、トーボさんはトーボさんでしょ。」

トーボ君も、困ったように言うんだ。

「どうって・・・、クロは、クロだよ。」

ああ、言われてみれば、えらく単純なオチですいません。

でも、それで、ようやく書く気になった。

2/22素敵サイトさんと楽しいやりとりのあと。

追記:動物と言葉が通じても、人の気持ちを読めても、見えれば見えるほど距離を詰めるのが難しくても。見えなくても信頼することより、見えて信頼することの方がずっと難しいけれど。その難しさを容赦なく描くちばあきおの筆のラストがあのクロならば。

見えないより見えた方がいいのだと、そうためらいながらでも言えるトーボになって欲しい。

そう思う。

2009.02.18?

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